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神戸地方裁判所 昭和34年(ヨ)184号 判決 1960年1月18日

債権者 山河一二三

債務者 オリエンタルタクシー株式会社

主文

債務者が昭和三十四年五月十日債権者に対してなした解雇の意思表示の効力は本案判決の確定に至るまで仮にこれを停止する。

債務者は債権者に対し本案判決の確定に至るまで、仮に金十四万八千二百七十二円並びに昭和三十五年一月二十八日以降毎月二十八日限り金一万八千五百三十四円宛を各支払うべきことを命ずる。

債権者のその余の申請はこれを棄却する。

訴訟費用は全部債務者の負担とする。

(注、無保証)

事実

一、債権者代理人は「債務者が債権者に対して昭和三十四年五月十日付をもつてなした解雇の意思表示の効力を仮に停止する。債務者は債権者に対して昭和三十四年五月二十八日以降毎月二十八日金二万六千円宛を仮に支払え。訴訟費用は債務者の負担とする。」との仮処分命令を求めた。

二、債権者代理人の仮処分申請理由についての主張。

(一)、債権者・債務者間の雇傭関係。

債務者はタクシー営業をなすことを目的とする株式会社であつて、債権者は昭和三十二年五月タクシー運転手として期間の定なく債権者に雇傭せられ就業しているのである。その労働条件は、就業時間は午前八時から翌朝八時までの二十四時間制でこれを一当務または一乗務と呼んで単位労働時間とし一ケ月十三分当務勤務すべきものと定められている。一当務に続く午前八時以後翌日の午後八時までは休みがあり、昭和三十三年七月頃から一当務中午前二時から午前五時までの時間は睡眠をとるよう口頭で指示されている。

給与は一当務に対する固定給と一ケ月の総水揚高の大小、走行粁当り収入の大小に応じて歩合の異なる乗務給と皆勤手当千円、無事故手当千円、乗車手当二千円までと深夜手当として一当務につき金百円か附加支給せられる例であつて、債権者の昭和三十四年五月十日当時における三十日分の平均賃金額は金二万八千円であり、此の内諸税等の源泉徴収その他の控除により現実の支給額は三十日間で金二万六千円となるのである。そして給料支払は毎月二十日締切り、同月二十八日前月二十一日以降当月二十日までの分を支払うことと定められていたものである。

そして債務者は昭和三十四年五月十日債権者に対して同日付を以て解雇する旨言渡した。(以下右解雇通告を単に本件解雇と呼称することがある。)しかし債権者に対する右解雇の意思表示は無効であつてその理由は次のとおりである。

(二)、右解雇の意思表示の無効理由。

債務者会社においては従来従業運転手等に対する労働条件が劣悪であつてその対従業員態度も前時代的なものがあつたのであるが、一方所謂「神風タクシー」排撃の世論が漸く昂まるとともにタクシー運転手の労働条件に対する関心批判が喚起せられやがて昭和三十三年六月九日自動車運送事業等運輸規則の一部改正による自動車運転手の最高乗務距離が限定せられた神戸市においては一当務三百五十粁と定められた(第二十一条の二)、収受する運賃及び料金総額の基準の強制禁示(第二十一条の三、所謂ノルマ制の禁止)がなされ、更に同月三十日労働基準法施行規則第二十六条により労働時間一日平均十時間制の特例も撤廃せられタクシー運転手についてもその労働時間は一日八時間の原則によるべきものとせられるに至つた。

このようなタクシー運転手の労働条件の改善の一般的風潮の裡に債務者の従業員の中先ず債権者等一部の者の間に昭和三十三年末頃から労働組合結成の気運が生じた。そして債権者は同年十二月二十日頃以来神戸合同労働組合と接触し組合結成の方法等につき図るところがあつたが債権者としては未だ一挙に債務者会社内に組合を結成する時期ではなく、先ず従業員が個々に前記合同労同組合に加入し相当数に達した上で債務者会社内に同労組の支部を結成するのが得策と考え自ら同労組に加盟し爾後同僚運転手に右組合への加入を勧誘した結果昭和三十四年三月には債務者会社従業員五十八名中十数名が神戸合同労組に加入するに至つた。これに対し債務者側は屡々債権者等を呼んで真相を質し従業員の組合結成の動向を弾圧しようと試みるので債権者は事態を打破する手がかりを就業規則の検討に求めようと考え同年四月初頃西宮労働基準監督署に赴き債務者会社の就業規則の閲覧方申出たところ就業規則の届出がなされていなかつた。そして債務者が右監督署に就業規則の閲覧を求めたことがきつかけとなつて同月十五日同署より債務者に対し調査をなし注意を促すところがあつた。ところが債権者が労働管理に関する監督官庁に社内の実情を訴えたことを知つて債務者は突如として債権者に対する配車を悪い自動車に替える措置に出で、債権者がこれに抗議すると嫌ならやめろと言つて債務者に対し一方的に下車勤務を命じしかも下車勤務に対する賃金を支給しないとの取扱をなし更に同年五月十日には債権者が出社してみると債権者の名札が本勤の部からスペヤーの部(予備の運転手の部)に移されているので社長に理由を尋ねても答えず庶務係員に質したところ社長から債権者には退者勧告をしたから配車に及ばぬ旨指示があつたとのことであつたので更に社長を詰問すると「水揚げは少いし、合同労組へは行くし、基準局へは走るしするから車には乗せないから他に就職口を探せ。」と放言した。そこで債権者は翌十一日前記合同労組の幹部と共に債務者会社々長に面接したところ社長は「山河は自分の一番嫌な組合運動をする。たとえそれが憲法で保障されていようともオリエンタルタクシーは神本憲法でゆくんだから組合運動するやつは皆馘だ」と断言して債権者に対する同月十日の解雇通告を確認したのである。

以上の事実によれば債権者に対する本件解雇は労働組合法第七条一号に定むる不当労働行為に該当するものとして無効である。仮に本件解雇が右法条所定の不当労働行為に該当しないとしても前記の様な次第でなした解雇は解雇権の濫用として無効というべきである。

従つて債権者・債務者間にはなお前記二の(一)記載の内容の雇傭契約関係が存続し債権者は債務者に対して右契約所定の賃金請求権を有するものである。

(三)、申請にかかる仮処分の必要性について。

債権者は債務者に対し本件解雇無効確認の訴を提起せんとするのであるが、妻と子供四人(年令五才、四才、三才及び二才)を扶養しなければならないのに他に財産としては所有しないので本案訴訟の確定判決あるまで債務者から賃金の支払を受けられない状態を続けることはできない事情にある。

よつて申請の趣旨の内容の仮処分命令を求める。

三、債務者代理人の主張についての陳述及び反駁。

(一)、債権者は債務者会社に就業規則のあることを知らなかつたのであつて、債務者が従業員に対し就業規則の存在を周知せしめなかつたのであるから債権者がこれを知らなかつたことについては債権者に過失はない。

(二)、債権者の就業成績が低劣なりとの主張は争う。債権者の就労成績が低下したとされる最後の四ケ月>分の一当務における平均水揚高を神戸市内所在の他社の平均水揚高と対比すれば、昭和三十四年二月分については債権者の金八千七十三円に対し「みなとタクシー」の金七千八百十八円、「神港タクシー」の金七千八百五十四円、「大和タクシー」の金七千六百二十二円、同年三月分については債権者の金七千九百四十八円に対し「みなとタクシー」の金七千八百一円、「神港タクシー」の金七千九百十三円、「大和タクシー」の金七千八百八十七円、同年四月分については債権者の金七千九百八十円、「みなとタクシー」の金八千三十九円、「神港タクシー」の金八千二百七十三円、「大和タクシー」の金七千九百八円、同年五月分については債権者の金七千三百五十二円、「みなとタクシー」の金七千七百四十五円、「大和タクシー」の金七千五百五十円となるのであつて、右対比の結果は債務者会社における従業員の所謂ノルマが高く従業員が過労に陥つていることを証明するものであるから債務者従業員の間における水揚高の相対的低劣の故を以て債権者解雇の理由となすのは前記改正第二十一条の三に違反するものというべきであつて、債務者の従業員に課せられていたこのようなノルマの打破と過労の防止のためにも労働組合の結成を必要とする事態にあつたのである。

(三)、債権者が神田正之に対し債務者代理人主張の日にその主張の如き傷害を与えたことは認める。しかしながら右傷害は約一ケ月余で治癒したのであり、事故の状況をいえば債権者と反対方向に走行中の五、六台の自転車の最後尾附近にいた被害者の自転車が先行自転車を追越そうとして接触し横倒しとなり偶々走つて来た債権者運転の自動車(ダツトサン)のドアの蝶番に頭を打つけ傷害を発生したのであつて、債権者にももとより不注意なしとはいえないけれども主因は被害者にあつたのである。そして債務者会社において事故を理由として従業員を解雇した例は従前「車体事故」により修理のため数十万円の費用を要するに至らしめた場合であつて、昭和三十四年二月檜山運転手が解雇せられたのもその例にあたるのであるが、人事々故を理由としては解雇しないのを例とし、松原運転手が同年二月被害者に治療二ケ月半を要する重傷を負わしめた場合も同運転手は解雇せられなかつた如きである。

(四)、債務者が債務者代理人主張の金額の予告手当を提供したことは否認する。尤も債務者代理人主張の金額を債権者に対し供託したことは認める。

(五)、債権者が兵庫県タクシー運転者共済組合に加入しているとの主張事実は否認するが同組合の仕事を手伝つて得る収入をもつて生活費の一部を補つていることは認める。

四、債権者代理人の疎明方法の提出と債務者代理人提出の疎明書類の成立等に関する陳述。<省略>

五、債務者代理人は「債権者の仮処分命令申請を却下する。申請費用は申請人の負担とする。」との裁判を求めた。

六、債権者代理人の仮処分申請理由の主張に対する答弁。

債務者が債権者に対し昭和三十四年五月十日解雇通告をなしたこと、その当時における債権者に対する三十日分の平均賃金が債権者代理人主張の金額に相当することはいずれも認める。債権者外十数名の債務者会社従業員が神戸合同労働組合に加入するに至つた前後の経緯に関する事実は不知、債務者が債権者を呼んで右組合加入に関し真相を質しその動向を弾圧せんとしたとの事実は否認する。債務者は昭和三十四年五月十一日神戸合同労働組合員と称する三名の者が来社し「山河は我々の組合員である」と言明するのを聞いて初めて債権者が同組合に加入している事実を了知したにすぎない。

債権者を解雇した理由は債権者代理人の主張するが如きものではない。債務者はその就業規則を既に昭和二十九年四月作成して所轄労働基準監督署に届出を了し且つ従業運転手の溜り場にこれを備付けて縦覧に供して来たのである。尤も最近に至り何者かに持去られて紛失した事実はある。

また債権者に対する配車替は債権者の就労成績が俄にしかも極端に低下したので同人の反省を促し勤労意欲を回復せしめるためその気分転換の方法として採つた措置にほかならない。

債権者を解雇した理由は次のとおりである。

七、債務者代理人主張の解雇理由。

債権者は債務者会社に入社以来引続き就労成績が良好であつたが昭和三十三年十月頃から俄に就労成績が低下し従業員五十四名中五十位以下ともなつたので債務者としては配車替等の措置を構じてその気分転換を計り就労成績の向上するよう努めたが効果がなかつたのみか、昭和三十四年二月十三日には就労中債権者の不注意に因つて交通事故を惹起し被害者神田正之(当時十四才)に対し頭蓋骨折生命危篤の重傷を負わしめ且つ車輛を破損せしめたのである。しかしながら債務者はなお債権者の生活維持に対する顧慮から右の様な重大事故に関しても債権者の責任を追及することを保留して引続き就労させていたのであるが債権者の就労成績は依然として低劣にして向上の徴候なく却て同年二月には従業員五十六名中四十九位、同年三月には五十三位、同年四月には遂に五十七位となり、昭和三十三年十月頃以降七ケ月余の間に就労成績低下の一途を辿るのみであることが認められたので止むなく前記就業規則第四十六条に基き解雇するに至つたものである。

八、そこで右解雇通告に際し債務者は債権者に対し、債権者の三十日分の平均賃金相当の額として金二万千六百八十二円を解雇予告手当として提供したところ債権者はその受領を拒絶したので債務者は同年六月十五日同金額を供託しその後右平均賃金額はその計算に誤があつたことが明となつたので差額を追加供託したのである。従つて債権者に対する本件解雇の意思表示は有効で債務者と債権者間の雇傭関係は昭和三十四年五月十日限り解除せられて消滅したのであるから債権者は債務者に対し右同日以降の賃金請求権を有するものではない。

九、更に仮処分命令の必要性については、債権者は債務者会社より退職後兵庫県タクシー運転者共済組合に加入しタクシー営業を続けて相当の収入を得ているのであるから、右営業の適法不適法の如何はこれを措きその生活維持のため仮処分を以て賃金仮払を受くべき現実の必要性を有しないこと明である。

然らば本件仮処分申請はその理由がないものである。

十、債務者代理人の提出した疎明方法及び債権者提出の疎明書類の成立に関する陳述。<省略>

理由

一、債権者・債務者間の雇傭関係。

債務者がタクシー営業をなすことを目的とする株式会社であつて、債権者は昭和三十二年五月タクシー運転手として期間の定なく債務者に雇傭せられ就業していること、債権者の右就業における労働条件として、就業時間は午前八時から翌朝八時までの二十四時間制であつてこれを一当務または一乗務と呼んで単位労働時間とし、一ケ月十三当務勤務すべきものと定められていること、一当務に続く午前八時以後翌日の午前八時までは休みであり、昭和三十三年七月頃から一当務中午前二時から午前五時までの時間は睡眠をとるよう指示されていること、給与は一当務に対する固定給と一ケ月の総水揚高の大小、走行粁当り収入の大小に応じて歩合の異なる乗務給と皆勤手当千円、無事故手当千円、愛車手当二千円までと深夜手当として一当務につき金百円が加算支給せられる例であつて、債権者の昭和三十四年五月十日当時における三十日分の平均賃金額は金二万八千円であること給与支払につき毎月二十日締切り、同月二十八日前月二十一日以降当月二十日までの分を支払うことと定められていたことはいずれも債務者が明にこれを争わず自白したものと看做すべく、債務者が債権者に対し昭和三十四年五月十日即日解雇する旨の意思表示をしたことは、当事者間に争がない。

二、右解雇の理由の認定。

(一)、成立に争のない甲第二、第三号証及び同号証と弁論の全趣旨とにより真正に成立したものと認められる同第一号証、証人宮本芳雄の証言により真正に成立したものと認められる乙第二号証に証人平井孝二の第一、二回証言、証人宮本芳雄の証言及び債権者本人訊問の結果を綜合すれば、債権者は昭和三十二年五月債務者会社に雇われてタクシー運転手として働くようになつてから約一年半位の間は只管就業成績の向上を目指して仕事に専念したので毎月債務者全従業員中で上位若くは中位を下らない運賃収入を挙げ得ていたのであるが、タクシー企業の増加につれて単位時間に可及的多数の乗客を獲得し可及的長距離を選ぶことにより営業成績の向上を実現せんとするところからタクシー運転手の操車が次第に節度を欠いて交通秩序を紊し、特に交通量の多い市街地においてタクシー運転手の過失に基因する身体財産の危害が急増するにつれ「神風運転」或は「神風タクシー」と呼ばれこれに対する批判的世論が昂まりタクシー運転のこのような傾向の一大原因が概して小規模なタクシー企業の経営方式及び従業運転手の給与算出方式の不合理に存することが指摘されるに至つた。即ち多くのタクシー企業における運転手の給与は一定額の固定給と各運転手の具体的場合の単位時間若くは一ケ月間走行距離数、単位走行距離(たとえば粁当り)における運賃収入額、若くはガソリン消費の単位量における運賃収入額等各種の基準による各様の歩合給並びに一定種類、一定額の手当名義の給与とから構成せられるを例とし、従つて運転手がより多額の給与収入を獲得するためには一定時間内により多くの乗客をより遠くに運送するほかなく、一方企業主の側としては企業収入を確保するため運転手に課するに一定の標準作業量を設定してこれが遂行を督励し、標準作業量に達しない運転手に対しては下車勤務、低能率車への配車換え等の懲罰的不利益な措置を構じ、かくて前示の様なタクシーによる交通秩序の紊乱、交通禍の頻発の現象を招くに至つたために、昭和三十三年後半において最高走行粁数の限定、賃金体系の合理化の指導、標準作業量強制の禁止、タクシー運転手の労働時間の特例の撤廃、一日平均八時間の原則への復帰その他タクシー運転手の労働条件の改善合理化の各種行政措置が構ぜられるようになつたのであるが、このような風潮の禍に債権者も昭和三十三年十月頃から漸く従来のタクシー運転手の労働条件、その地位、タクシー企業における労務管理の状況に対する批判の眼を開かれ、しかも債務者会社におけるノルマが神戸市内の他のタクシー業者に比して苛酷であり、ノルマに達しない運転手に対する懲罰的措置その他の労働条件もよくなかつたのでかかる事態改善のため債務者従業員を以て労働組合を結成する必要があると考え神戸市内における雑産業の従業労働者を以て組織する神戸合同労働組合に相談した結果、今直ちに債務者従業員を以て一挙に支部組合を結成するのは時期尚早であり先ず個人加盟者を逐次増加せしめ相当数に達するを待つて組合を結成するを可とするものと考え債権者は同年十二月暮近く債務者従業員数名と共に前記労働組合に加入しその後十数名の債務者従業員が夫々合同労組に個人加入するに至つたことが疎明せられる。

(二)、前記乙第二号証及び債権者本人尋問の結果によれば、債務者が営業に使用する自動車には「オースチン」、「ヒルマン」、「コロナ」、「ダツトサン」、「ルノー」の各種の車があり、車の種類によつて自ら営業能率に差があり、いずれの車に配車せられるかに応じて運転手の営業成績に優劣を生ずるのが一般的傾向であり、前記種類の車についてみれば大体前記の順序で乗務運転手の成績に上下が生ずること、並びに債権者は昭和三十三年十二月末頃までは「ダツトサン」を配車せられていたが水揚高が低いとの理由で債務者会社神本社長の直接の指示により暫く一定の車を割り当てられないスペアーと呼ばれる予備運転手とされ、その後「コロナ」を配車せられて乗務しているうち、昭和三十四年二月十二日頃前記社長から労働運動をやめよ、やめないと首にするとの注意を受け、その後労働運動をしていることを理由として「ルノー」に配車換えをせられて乗務中更に債権者が後に判示するように労働基準監督署に出入することを理由として社長より直接下車勤務を命ぜられたこと、並に上記下車勤務を命ぜられると乗務すべき自動車を割当てられず、しかも乗務以外別段の仕事も与えられないので帰宅する外なく従つて下車勤務中は給与が一切支払われない取扱がなされることが疎明せられ、右認定に反する債務者代表者本人尋問の結果は信用することができず、その他右認定に反する疎明はない。

(三)、ところで前記甲第一乃至第三号証及び証人平井孝二の第一回証言によれば、前記のように神風タクシー追放の世論が起るや、前記合同労組は神風運転の原因はタクシー運転手の賃金算出に関する累進歩合制度の採用、タクシー業者の前近代的経営方式、特に標準作業量を設定してその達成を運転手に督励し、若し標準量に達しないときは右賃金体系の方式それ自体の効果として当該運転手の収入が低下する結果となるほか更に下車勤、配車換え等の懲罰的処分を課する如きやり方にありとして、タクシー運転手の従来の劣悪な労働条件を改善し、以上の様な前近代的不合理な経営方式より解放してその経済的社会的地位の向上を計るための方策として、従前の一昼夜勤務制の如き長時間労働の廃止、標準作業量強制禁止の確立、単位時間における最高走行距離の合理的限定、運転手の休憩施設、仮眠場所の設備の整備改善、並びに賃金体系の合理化等の実現を目標として昭和三十三年八月には大阪陸運局、兵庫労働基準局等陸上運送事業及び労務管理に対する監督行政官庁に対し前記の如き組合としての態度を開示して適切なる行政措置を要望し且行政監督の発動を促すところがあつたことが疎明せられる。

(四)、成立に争ない甲第五号証、証人平井孝二の第二回証言により真正に成立したものと認められる甲第四号証の一乃至三及び証人宮本芳雄の証言により成立の真正が疎明せられる乙第三号証、証人平井孝二の第一回、証人宮本芳雄の各証言並びに債権者本人尋問の結果を綜合すれば債権者が債務者の従業員の労働条件が前示の如く一般的に劣悪なタクシー業者の中にあっても特に一段と低劣であると考えその改善、従業員の地位の向上を実現する手がかりとして前記合同労組に加入した後先ず債務者会社の就業規則の検討をなさんとしたが従業員が随時これを見得る場所には就業規則が掲げられて居らず、さりとて債務者の事業場内においては社長にはもとより事務担当者に対してさえ直接就業規則の閲覧を申出でたりその規定内容に関して云々する如きことが憚られる情況があつたため、昭和三十四年三月中頃西宮労働基準監督署(証人平井孝二、同宮本芳雄の各証言及び債権者本人の供述並びに双方代理人等の尋問中基準局とあるのはいずれも基準監督署の誤であることが弁論の全趣旨により明である。)に赴き債務者の就業規則の閲覧を求めたが果さず、その後前後二回同署に同様の目的で赴いたがいずれも債務者の就業規則が同署に存しなかつたこと、前記合同労組の役員である平井孝二も同年四月末頃同署に赴いて右就業規則の規定を検討しようとしたところ当時も就業規則がなかつたため同人は債務者従業員に対する処分の根拠を明確にならしめる必要からも早急に就業規則の作成届出をなすべく債務者に勧告するよう同署に要望したこと、債務者においてもさきに昭和二十九年四月一日就業規則を制定して同署に届出ていたのであるが右就業規則をその後昭和三十一年一月一日付を以て改正し改正規則を同署に届出んとしたところ同署よりその訂正、再考方を勧告せられ受理を保留せられるやそのまゝ放置して爾後正規の届出を履行しなかつたため前示の如く債権者及び平井孝二が同署においても就業規則を閲覧することを得ない事態になつたものであること、債権者は同署に赴いて就業規則の閲覧を求めたばかりでなく債務者会社において前示下車勤処分を受けるとその間一切の給与を奪われることになる取扱の不当を訴え下車勤処分中の給与に関し同署の見解及び行政措置による善処を求めたことが疎明せられる。

(五)、そして前記乙第二号証と証人平井孝二の第一回証言及び債権者本人尋問の結果によれば、債権者が前示の目的を以て同署に赴いた最終は昭和三十四年四月十日過ぎ頃であつたが債権者の再三の出頭と前記平井のような社外の者も債務者の労務管理に関し同署に申入れをなした者があつたため同月十五日同署係官等が債務者会社事務所に来訪し労務管理に関し調査を行つたこと、右調査が行われた直後たる同月十六日頃債権者に対し前示下車勤処分がなされたが、その処分の際債務者会社々長が直接債権者に対し債権者が前記基準署に赴き且下車勤処分中の給与を請求した所為を理由の一として該処分に付する旨言明したことが疎明せられ、右認定に反する債務者代表者本人の供述は俄に信用し難いところである。

(六)、次に債権者に対し本件解雇の言渡がなされた当時の事情をみるのに、証人平井孝二の第一回証言及び債権者本人尋問の結果によれば、債権者が昭和三十四年五月十日午前八時の所定の出勤時間に出勤してみると債権者が乗務するものと定められた車にその名札が掲げられていないので配車係兼労務課員たる中越某にその理由を質したところ同人が社長より直接、債権者に対しては既に前日解雇通告をなしたから配車に及ばぬ旨指示を受けたと答えたので社長に尋ねたところ始めは自分は知らぬと答えその後暫くして更に社長に面接して配車しない理由を質したところ社長は債権者が水揚が少いくせに労働基準監督署には行く、しかも下車勤処分にされると同署に手当を請求する、また労働組合運動をやめろというのにやめないから他に就職口を探せという趣旨を言明したこと、翌十一日債権者が前記合同労組の役員である大西、平井孝二、大塚の三名と同道して債務者会社々長神本吉章に面接して前日の同人の債権者に対する言明の趣旨が債権者に対する解雇通告の意味なりやを質し、且組合活動を理由とする解雇ならば日本国憲法に違反する旨の組合側の見解を表明したところ、これに対し神本社長は債務者会社においては組合運動は許るさないところであつて、敢てこれをするなら会社に留めておくことはできない。日本国憲法の規定は如何にもあれ、債務者会社においては神本憲法が妥当し、これに違反する場合は会社に留まることを許るさない。債権者は神本憲法に違反し会社にとって一番嫌な所為に出でたものである旨断言して五月十日の言が解雇の通告なることを確認し、またその際債権者及び前記組合役員に対し、債務者会社従業員がかつて神姫タクシー従業員の応援下に労働組合結成の動きを示した際、暴力団に命じて運動の幹部に徹底的な殴打暴行を加えさせ、逃げた幹部の一人はこれを捕えて鉄柱にくくりつけて半日の間ホースで水を打かけてやる等して暴力を以て遂に組合結成の気運を弾圧し去つた経緯を語り、或は夜中組合結成の中心的人物の居宅近辺で「此の家の人は私の会社をつぶそうとしている。」と大声で喚き遂に同人に謝らせたと話し、前記組合役員等の飜意の申入も顧みられず説得も奏効しなかつたことが疎明せられ、右認定に反する債務者代表者本人尋問の結果は到底措信し得ないところである。

以上(一)乃至(六)に認定した事実に対し、

(七)、前記乙第二号証によれば、債権者の債務者会社における総水揚高を基準とする月間の平均成績順位が昭和三十三年四月二十一日以降同年九月二十日までの五ケ月間は毎月総従業運転手五十数名中の十番以内若くは少くとも中位以上の成績を示していたに抱らず、昭和三十三年九月二十一日以降は格段の成績の低落を示し、僅か同十二月二十一日以降の一ケ月間が第十位に上つた外は引続き毎月第五十位を下る有様であつて会社から屡々注意を受けたことが疎明せられ、

(八)、債務者代表者本人尋問の結果(但し前記及び後記の信用しない部分を除く)によれば、債権者は債務者に雇われた後労働時間中に吾子の乗つた乳母車をその乗務する自動車の後尾に結びつけて附近を乗りまわして擅に私用に供したことがあり、また乗務中は必ず客の乗降の場所を正確に日報に記載しこれを会社に報告しなければならない定めであるに拘らず故意にその記載を怠つたことを兵庫県乗用自動車協会街頭調査員に摘発せられたことがあることが疎明せられ、

(九)、債権者が債務者の自動車に乗務して営業に従事中昭和三十四年二月十三日午前中神戸市内において債権者の過失に因つてその操縦する自動車を通行中の神田正之(当時満十四歳)に衝突させ同人に同日以降同年三月十日迄の入院治療同日以後三回の通院加療を要したる頭部挫創、頭蓋骨陥没骨折その他の傷害を与えたことは当事者間に争がなく、債権者本人尋問の結果並に債務者代表者本人尋問の結果(但し前記及後記措信しない部分を除く)によれば債務者は右被害者に対して自動車傷害保険給付以外の金三万円を贈つてこれ慰藉したため被害者よりそれ以外別段の請求もなく済んだことが疎明せられる。

そこで前示(一)乃至(九)の事実に照らして本件解雇の理由を考察するに、(八)に認定した自動車を私用に供した行為及び日報の記載脱漏の行為の日時についてはこれを確定するに足る疎明がないけれども、(此の点に関する債務者代表者本人の供述は直に右日時確定の資料となし難いものと認める)弁論の全趣旨によればいずれも昭和三十三年中の出来事であつたことが窺はれ、就労成績の低下の事実については、債務者の営業の態様が固定せる一定の営業所における営業でなく、専ら市中を走行し随時随所に乗客を拾つて運送する所謂流し営業であるところから、全従業員を通じて各運転手毎に常にその営業成績が一定枠内に固定することはあり得ず、同一運転手についてもその成績に高低の変動があるのがむしろ常態であり、企業主たる債務者の側においても或る運転手が時に連続して営業成績が不振なることあるも必ずしもこれに抱泥せず、たかだか成績低下の都度これに注意を与えて業績向上を督励するのが通常であることが前記乙第二号証及び債務者代表者本人尋問の結果によつて窺はれ、更にまた前記神田正之に対する傷害については事後遅滞なく債務者において被害者に対し慰藉の途を講ずるにより格別の紛争も生ずることなく事済みとなつた後債権者に対する本件解雇に至る迄に既に約三ケ月を経過しているのであつて、これらの事情に前記(一)乃至(六)に認定した事実を綜合考察すれば前記(七)乃至(九)に認定した事実はもとより債権者に対する本件解雇の決定に幾許かの影響を与えたであらうことは推認するに難くないけれども、さりとて該事実が右解雇の決定的理由となつたものとは到底認めることができず、前記(一)、及び(四)に認定したとおり、債権者がその労働条件の改善、地位の向上を意図して神戸合同労組に加入しまた他の従業員中十数名が債権者と相前後して同労組に加入するに至つたこと、債権者が再三西宮労働基準監督署を訪ねて債務者会社の就業規則の届出の有無を質しその閲覧を申入れ、若くは前示下車勤処分中給与の支給が一切なされない債務者の不当な取扱を同署に訴えて善処方要望したこと等が債務者会社々長の注意を惹き会社に不利益な労働運動を行うものと認めてこれを排除せざるを得ないのであつて、これに反する債務者代表者本人尋問の結果は前記甲、乙号各疎明書類、前記証言、債権者本人尋問の結果並びに弁論の全趣旨に照らして到底措信し得ないところである。

三、本件解雇の効力の存否の判断並びにその効果。

そして前記二の(一)、(三)、に認定した事実及び二の(四)に認定したとおり平井孝二が債務者会社の就業規則検討に関し西宮労働基準監督署に赴いた事実とに対比考察すれば、前記二の(一)及び(四)に認定した如き債権者の行為は債務者会社における債権者等従業員の労働条件の維持、改善、地位の向上を実現せんとの意図に出たものであつて、正に当時前記神戸合同労働組合が一つの活動目標として掲げたところに副うものであることが明であるから債権者の右所為は正当な組合活動というに値すべく、従つてこれを理由として債権者に対してなした債務者の本件解雇は労働組合法第七条第一号に該当し無効といわなければならない。然らば債権者と債務者間の前記一に判示した内容の雇傭関係は昭和三十四年五月十一日以後も引続き存続するところである。

四、債権者申請の仮処分命令の必要性についての判断。

成立に争ない乙第五号証及び債権者本人訊問の結果によれば、債権者は妻との間に年齢五歳、四歳、三歳、二歳の子供四人があり住居こそ自己の持家があつて一応安定しているけれども、一家六人の家族の生活は専ら債権者が債務者の従業員として働いて得る賃金収入に依存して営まれているのであつて、他に生計の助けとなる別段の財産を有しないことが疎明せられる。尤も成立に争のない乙第五号証と債権者本人尋問の結果によれば、債権者は債務者から解雇通告を受けた後昭和三十四年五月二十日過ぎ頃兵庫県タクシー運転者共済組合に加入し乗用車運転に従事しこれによって一ケ月約金五千円の収入を得ていることが疎明せられるけれども、前記乙第五号証及び債権者本人訊問の結果によれば債権者としては矢張り従前の如く既存のタクシー企業に雇われて就労することを希望し且生活上もそれを得策と考えていることに変りなく、同記組合に加入したのも差し当り当座の収入の途を講ずる必要に迫られたためであつたが、かかる組合による旅客運送営業は陸運行政当局がこれを違法として取締、禁止の方針を堅持し、同年五月二十三日には債権者も右組合所有の車に乗務中道路運送法第四条第百二十八条第一号等違反として神戸市兵県警察署に逮捕せられたことも亦疎明せられるのである。

このような本件解雇通告によつて惹起せられた債権者側の事情と債務者が本件解雇をなすに至つた理由、経緯に関する前認定の事情及び本件解雇通告後債権者をその職場より排除したことによつて債務者はその営業の規模、営業の継続、従業員の補充等経営の組織につき些かの支障を生ずることもなく、営業収益、費用の支出等経済上もまた何等の不利益を蒙るものでもないことが前認定の各種事実を通じて自ら明なところであるとの事情を比較考量し且つ債権者の提起すべき本件解雇の無効確認請求の本案訴訟の確定判決に至るまでには尚相当長期の日月を要することが通常なること疎明を俟たずして明な事態であることを考えるときは、本件解雇の意思表示の効力を停止し、仮に債権者と債務者間に従前と同様な雇傭関係を維持存続するものとなし且つ債務者をして債権者に対し仮に右雇傭関係に基く従前の賃金相当額の金員の支払をなさしめることが本件解雇を機として発生した債権者・債務者間の雇傭関係存否の紛争状態においてその本案訴訟の確定判決による終局的解決迄の間において双方当事者の地位の公平を実現するため相当な措置と認められるのであつて、債務者代理人主張の如く債権者が前認定の如く前記共済組合に加入して働くことにより収入を得ていることを理由として直ちに債権者にその申請にかかる本件仮処分の必要性なきものと断定することはできない。蓋し民事訴訟法第七百六十条但書にいう「著しき損害を避け若くは急迫なる強暴を防ぐ為め又はその他の理由により之を必要とするとき」とは継続的権利関係につき紛争状態が発生した場合において本案判決による終局的確定、解決に至る迄の間において紛争当事者の一方のみが当該権利関係について他方に比し著しく不利益な地位におかれ、本案判決を待たずその紛争過程において既に事実上権利関係が確定せられたのと同一の状態が生ぜしめられ、一方は完全な勝者の如く、他方は完全な敗者たるの事実状態が惹起せられる如き紛争当事者間の不平等を排し、紛争中両当事者の地位の公平を維持するに相当なる措置を仮処分を以て設定することを得しむる趣旨と解すべきものであるからである。

いわんや前認定の如く前記組合による営業が未だ主務官庁においてこれを違法にして認許すべきものとなさず、刑事訴追の虞さえ伴うものであることに徴すれば、債権者が同組合に加入就労するにより前認定の金額の収入を得るとの事実を以て直ちに本件仮処分の必要性の存否の判断につき債権者に不利に、債務者に有利にのみ評価するは失当というべきである。

そこで次に仮処分として債務者より債権者に対し仮払を命ずべき金員の額を定むる基準及び仮払の方法につき考えるのに、以上認定の債権者、債務者間の雇傭関係の推移、紛争の経緯を綜合すれば、債権者が従前報酬の支払として債務者より現実に交付を受け債権者において事実上その任意の費消、使用に委ねられた金額を標準として具体的仮払額を定めるのが叙上の如き仮処分の目的に即応して最も相当と認められるのであつて、必ず雇傭契約直接の効果たる報酬請求権の全額の支払を命じたり若くは労働基準法所定の平均賃金額の支払を命ずるのが相当とは解せられない。そして本件解雇の通告がなされた当時において債権者が債務者より給与を受けた三十日分の平均賃金額が金二万八千円であることは当事者間に争のないところであるが、成立に争ない甲第六号証の一乃至三によれば昭和三十四年二月以降四月までの三ケ月間における諸税、保険料等を控除した債権者の給与手取額の平均月額は金一万八千五百三十四円余となることが疎明せられ、しかも先に二ノ(七)に認定した債権者の就労成績の状況によれば債権者が債務者に雇傭せられて就労する限りは少くとも右手取額に相当する程度の収入はこれを維持すべく、右手取額以下に下ることはないものと認められるから仮払を命ずべき金額は右平均手取額に拠つてこれを定むるを相当とする。ところで債務者が債権者に対する予告手当の趣旨で債権者に対し前記平均賃金額を供託したことは当事者間に争がないけれども、債権者が右供託を受諾しないこと弁論の全趣旨により明であるから該金額はこれを仮払金額の決定につき斟酌すべきものでない。そして債務者会社においては従業員に対する給料支払の方法として毎月二十日締切り、同月二十八日に前月二十一日以降同月二十日までの分を支払うべきものと定められていたことは債務者が明にこれを争はず自白したものと看做されるから仮払を命ずべき金員も昭和三十四年五月以降毎月二十八日に支払うべきことを命ずるのが相当である。

五、結論

以上説示したところにより本案判決確定に至るまで、債務者の債権者に対する本件解雇の意思表示の効力を仮に停止し、債務者より債権者に対し、前認定の平均手取月額の範囲内たる一ケ月金一万八千五百三十四円(一円未満を切り捨てる)の割合で算出し、既にその弁済期の到来している昭和三十四年五月分以降同年十二月分(十二月分は同年十一月二十一日以降同年十二月二十日迄に対するものであつて、十二月二十八日が支払日である。その他の月もこれに準ずる。)までの合計金十四万八千二百七十二円の一括仮払並びに昭和三十五年一月以降毎月二十八日限り金一万八千五百三十四円宛の仮払を命ずるを相当とするから、債権者の本件仮処分申請は右相当と認める範囲において理由あり、その余は失当として棄却すべきものである。尤も債権者の申請の一部棄却はその故に本件訴訟費用の額、その発生に何等の変動を生ぜしむべきものでないから訴訟費用の負担については民事訴訟法第八十九条、第九十二条但書を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 日野達蔵 菅浩行 高橋史朗)

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